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毎年、誕生月に届く「ねんきん定期便」。届いたものの、「どこを見ればいいのかわからない」「思ったより年金額が少なくて不安になった」という人も多いのではないでしょうか。実は、ねんきん定期便は50歳未満と50歳以上で、年金額の書き方がまったく違います。ここを知らないまま見ると、老後の年金を少なく見積もったり、多く見積もったりしてしまいます。この記事では、ねんきん定期便で見るべき場所と、年齢による違い、そして老後資金の計算につなげる方法を順番に整理します。
この記事でわかること
- ねんきん定期便で最初に見るべき3つの場所
- 50歳未満と50歳以上で違う「年金額」の読み方
- ねんきん定期便の金額に入っていないもの
- 定期便の数字から、老後資金の不足額を出す方法
- 記録の「もれ」や「誤り」を見つけたときの対応
※制度の内容は、日本年金機構「『ねんきん定期便』の様式(サンプル)と見方ガイド(令和8年度送付分)」などの公式ページで2026年10月15日に確認したものです。最新の情報は、日本年金機構の公式サイトで確認してください。
ねんきん定期便とは?いつ・どんな形で届く?
ねんきん定期便は、国民年金や厚生年金の加入記録と年金の見込額を知らせる通知です。日本年金機構から、毎年の誕生月に届きます(1日生まれの人は誕生月の前月)。
| 年齢 | 届く形 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 35歳・45歳・59歳 | 封書 | これまでの全期間の加入記録。記録の確認用の「年金加入記録回答票」と返信用封筒つき |
| 上記以外の年齢 | はがき | 直近の加入記録と年金額 |
出典:日本年金機構「『ねんきん定期便』の様式(サンプル)と見方ガイド(令和8年度送付分)」「『ねんきん定期便』は、いつ作成して、いつ送られるのですか。」
同じ内容は、日本年金機構の「ねんきんネット」でも電子版(PDF)で確認できます。はがきを捨ててしまった人や、過去の分と見比べたい人は、ねんきんネットを使うと便利です。
まず見るのは3か所だけ
ねんきん定期便には細かい数字がたくさん並んでいますが、最初に確認したいのは次の3か所です。
最初に見る3か所
- ① 年金額(年額):老後に受け取れる国の年金の目安。50歳未満と50歳以上で意味が違う(次で解説)
- ② 加入区分・納付状況:「未納」の月がないか。国民年金に加入していた時期がある人は特に確認
- ③ 標準報酬月額・標準賞与額:会社員の期間の給料・賞与の記録。実際の勤務状況と合っているか
②と③は「記録が正しいか」の確認、①は「老後にいくら受け取れそうか」の確認です。老後資金を考えるうえで一番大事なのは①ですが、①は年齢によって読み方が変わるので注意が必要です。
50歳未満の見方|金額は「これまでの分だけ」
50歳未満の人のねんきん定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が書かれています。これは、定期便を作った時点までに払った保険料だけで計算した金額です。
つまり、 これから60歳まで働いて払う分は入っていない ということです。40代の人が見ると「年金がこんなに少ないの?」と驚くことがありますが、これから加入を続ければ、実際に受け取る金額はもっと増えるのが普通です。
50歳未満の人が注意したいこと
- 定期便の金額は「今までの分」なので、そのまま老後の年金額として計算すると少なく見積もりすぎる
- 将来の見込額を知りたいときは、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を使う(定期便の二次元コードを読み取ると、簡単に試算できる)
- 去年の金額と今年の金額を見比べ、増え方がおかしくないかも確認する
50歳以上の見方|金額は「60歳まで今の条件で続けた場合」
50歳以上の人のねんきん定期便には、「老齢年金の見込額」が書かれています。こちらは、今の年金制度に、今と同じ条件で60歳まで加入し続けたと仮定して、65歳から受け取れる見込額を計算したものです。
50歳以上の金額は「将来分も含んだ見込み」なので、老後資金の計算にそのまま使いやすい数字です。ただし、あくまで「今と同じ条件が60歳まで続いたら」という前提なので、60歳より前に退職したり、給料が大きく変わったりすると、実際の金額はずれてきます。
50歳以上の定期便には「受け取りを遅らせた場合」の金額も
- 受け取り始めを65歳から70歳まで遅らせると、最大42%増
- 受け取り始めを65歳から75歳まで遅らせると、最大84%増
受け取りを遅らせる「繰下げ受給」のイメージが、図で示されています。
【比較表】50歳未満と50歳以上の違い
| 50歳未満 | 50歳以上 | |
|---|---|---|
| 書かれている金額 | これまでの加入実績に応じた年金額 | 老齢年金の見込額(65歳から) |
| これからの加入分 | 含まない | 含む(60歳まで今の条件で続けた場合) |
| 老後資金の計算への使い方 | そのまま使うと少なすぎる → 公的年金シミュレーターで将来分を試算 | 目安としてそのまま使える(条件が変わればずれる) |
| 繰下げ受給の増額イメージ | なし | 70歳(最大42%増)・75歳(最大84%増)の表示あり |
出典:日本年金機構「ねんきん定期便(ハガキ)見方ガイド」50歳未満の方・50歳以上の方(令和8年10月以降送付分)
ねんきん定期便の金額に入っていないもの
ねんきん定期便は、国の年金(国民年金・厚生年金)の記録です。老後に受け取るお金のうち、次のようなものは定期便の金額には入っていません。
| 定期便に入っていないもの | 確認する場所 |
|---|---|
| 勤務先の企業年金(企業型DC・DB) | 勤務先の人事・総務、企業年金の加入者サイト |
| iDeCo | iDeCoの口座がある金融機関 |
| 退職金(退職一時金) | 勤務先の退職金規程、人事・総務 |
| 個人年金保険など | 保険会社の契約内容 |
また、定期便の金額は税金や社会保険料が引かれる前の金額(額面)です。実際に受け取る手取りは、これより少なくなります。
退職金とiDeCoは、受け取り方によって税金が変わります。2026年からのルールはiDeCoと退職金の受け取り方|「5年ルール」が「10年ルール」に変わった2026年からの注意点を試算で解説で紹介しています。
定期便の数字から、老後資金の不足額を出す方法
ねんきん定期便の金額がわかったら、老後資金がどれくらい足りないかを計算できます。考え方はシンプルです。
老後資金の不足額の出し方(3ステップ)
- ステップ1:年金額(年額)を12で割って、月の年金額にする
- ステップ2:老後の毎月の生活費から、月の年金額を引いて「毎月の不足額」を出す
- ステップ3:毎月の不足額 × 12か月 × 老後の年数 = 老後資金の不足額
計算例(仮の数字)
前提:50歳以上の定期便の見込額が年180万円、老後の生活費が月25万円、65歳から90歳までの25年間で計算。税金・社会保険料、物価の上昇、企業年金・退職金は考えない単純計算です。
- 月の年金額:180万円 ÷ 12 = 15万円
- 毎月の不足額:25万円 − 15万円 = 10万円
- 老後資金の不足額:10万円 × 12か月 × 25年 = 3,000万円
ここから、退職金や企業年金、iDeCoなどで受け取れる見込み額を差し引いたものが、これから準備したい金額の目安になります。
生活費の決め方や、毎月いくら積み立てればいいかは、老後資金はいくら必要?|不足額の計算方法と毎月の積立額をシミュレーションで解説で詳しく解説しています。
記録の「もれ」や「誤り」を見つけたら
未納になっているはずのない月が「未納」になっていたり、勤めていた会社の期間が抜けていたりする場合は、記録の「もれ」や「誤り」の可能性があります。
- 35歳・45歳・59歳の封書:同封の「年金加入記録回答票」に記入し、返信用封筒で返送する
- それ以外の年齢:近くの年金事務所に問い合わせる
- 年金額が表示されない場合も、記録に不備がある可能性があるため、年金事務所に問い合わせる
年金の記録は、受け取る年金額に直接かかわります。転職が多い人や、名字が変わったことがある人は、一度しっかり確認しておくと安心です。
【チェックリスト】ねんきん定期便が届いたらやること
- 年金額の欄が「これまでの分」(50歳未満)か「60歳まで続けた場合」(50歳以上)かを確認する
- 「未納」の月がないか確認する
- 標準報酬月額が、その時期の給料と大きくずれていないか確認する
- 50歳未満の人は、公的年金シミュレーターで将来の見込額を試算する
- 企業年金・iDeCo・退職金の見込み額を、別に確認する
- 老後の生活費と比べて、毎月いくら足りないかを計算する
- はがきは捨てずに保管する(電子版はねんきんネットでも見られる)
計算が難しいと感じたら
ねんきん定期便、企業年金、退職金、iDeCo、NISA——老後資金は、いくつもの数字を組み合わせて考える必要があります。自分だけで整理しにくいと感じたら、ねんきん定期便を手元に用意して、FP(ファイナンシャルプランナー)に一度見てもらうのも一つの方法です。
- 相談は無料ですが、保険などの提案を受ける場合があります。内容に納得できなければ、その場で断って問題ありません
- 利用条件(年齢・職業など)があるため、申し込む前に公式サイトで確認してください
- ねんきん定期便、勤務先の企業年金・退職金の資料を用意しておくと、話がスムーズに進みます
まとめ|ねんきん定期便は「年齢による違い」を知ってから見る
ねんきん定期便の年金額は、50歳未満なら「これまでの分だけ」、50歳以上なら「60歳まで今の条件で続けた場合の見込み」です。
50歳未満の人は金額を少なく見積もりすぎないこと、50歳以上の人は企業年金・退職金・iDeCoを別に足すこと が、老後資金を正しく考える第一歩です。定期便が届いたら、未納の月がないかも確認しておきましょう。