iDeCo改正で60代も加入できる?70歳まで積み立てられる条件と2029年11月までの特例【2026年12月〜】

iDeCo改正2026 60代も70歳まで積み立てできる?リビングで年金の書類を見ながら話す60代の夫婦 投資・制度の活用

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「60歳を過ぎたら、もうiDeCoには入れない」——これまではそう考えるのが一般的でした。しかし2026年12月のiDeCo改正で、60歳以上70歳未満の人も、条件を満たせばiDeCoに加入・積み立てを続けられるようになります。さらに、改正から3年間は、条件に当てはまらない60代でも新しく加入できる特例があります。この記事では、50代・60代が知っておきたい改正の中身と、加入できる条件、注意点を整理します。

この記事でわかること

  • 2026年12月から60代のiDeCoがどう変わるか
  • 60歳以上70歳未満で加入できる条件と、加入できない人
  • 2029年11月30日までの特例(経過措置)
  • 会社員・自営業者など、働き方による違い
  • 60代でiDeCoを使うメリットと注意点
  • 50代のうちにやっておきたいこと

※制度の内容は、厚生労働省の資料と運営管理機関(りそな銀行・三井住友銀行・松井証券など)の公式サイトで2026年10月9日に確認したものです。最新の情報は、各公式サイトで確認してください。

2026年12月から|60歳以上70歳未満もiDeCoに加入できるように

これまでiDeCoに掛金を出せるのは、原則として国民年金の被保険者(会社員・公務員なら65歳未満など)に限られていました。会社を退職したり、60歳を過ぎて国民年金の被保険者でなくなったりすると、iDeCoへの積み立ては続けられませんでした。

2026年12月1日からは、新しく「第5号加入者」という区分ができます。60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者でない人も、条件を満たせば、70歳になるまでiDeCoに掛金を出せるようになります。

第5号加入者のポイント

  • 対象:60歳以上70歳未満で、国民年金の被保険者ではない人
  • 掛金の上限:月6.2万円(企業型DCなどの掛金と合わせて)
  • 手続き:書面のみ(2026年12月1日から受付)

60代で加入できる条件と、加入できない人

通常の条件(第5号加入者)

60歳以上70歳未満の人が第5号加入者になるには、次のすべてに当てはまる必要があります。

  1. 国民年金の被保険者ではない(国民年金保険料を納める義務がない)
  2. 次のどれかに当てはまる:①iDeCoの加入者、②iDeCoの運用指図者(積み立てを止めて運用だけしている人)、③企業年金の資産をiDeCoに移す人
  3. 老齢基礎年金や、iDeCoの老齢給付金(一時金で受け取った場合も含む)を受け取っていない
  4. 企業型DCで「マッチング拠出」をしていない

つまり、通常の条件では「すでにiDeCoや企業年金の資産を持っている人」が、その積み立てを続けられるという仕組みです。

2029年11月30日までの特例(経過措置)

改正から3年間(2026年12月1日〜2029年11月30日)は、上の②の条件(iDeCoの加入者・運用指図者・企業年金から移す人)に当てはまらない60歳以上70歳未満の人も、新しくiDeCoに加入できます。これまでiDeCoを使っていなかった60代にとっては、この3年間が始めるチャンスです。

ただし、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をすでに受け取っている人は、特例でも加入できません。

加入できない主な人

  • 老齢基礎年金を受け取っている人(繰り上げ受給を含む)
  • iDeCoの老齢給付金を受け取った人(一時金で受け取った人も含む)
  • 企業型DCでマッチング拠出をしている人

働き方による違い|会社員と自営業者

年齢・働き方iDeCoの区分掛金の上限(月額)
60〜65歳未満の会社員・公務員第2号(これまでどおり)6.2万円 − 会社の掛金
65〜70歳未満の会社員・公務員第5号(新設)6.2万円(会社の掛金と合算)
60〜70歳未満の自営業者・退職した人など(国民年金の被保険者でない人)第5号(新設)6.2万円(企業年金などの掛金と合算)
国民年金に任意加入している人第4号(任意加入者)7.5万円(国民年金基金などと合算)

出典:りそな銀行・KDDIアセットマネジメント・松井証券のiDeCo制度改正のお知らせ

会社員の掛金上限の計算方法は、iDeCo改正で会社員の掛金上限はいくら?企業年金がある人の計算方法を例で解説【2026年12月〜】で、計算例つきで詳しくまとめています。

60代でiDeCoを使うメリット

メリット1:再雇用などで働く間は、節税効果がある

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。60代も再雇用や業務委託で収入がある場合、所得税と住民税を減らせます。

試算:60歳から10年間、月2万円を積み立てた場合

前提:所得税率5%、住民税率10%(課税所得195万円以下の場合の所得税率。復興特別所得税は含めない)。10年間、同じ税率で働き続けると仮定。

  • 積み立てる掛金:月2万円 × 12か月 × 10年 = 240万円
  • 軽くなる税金:年24万円 ×(5%+10%)= 年3万6,000円 → 10年で約36万円

※収入がなくなると所得控除のメリットはなくなります。実際の金額は、収入や控除の状況で変わります。

メリット2:退職金や年金を受け取るまでの「置き場所」になる

これまでは60歳前後でiDeCoの積み立てが止まり、運用だけを続けるしかないケースが多くありました。改正後は70歳になるまで積み立てを続けられるので、老後資金をつくる期間が最大10年延びます。

60代でiDeCoを使うときの注意点

始める前に確認したいこと

  • 運用できる期間が短い:60代から始めると、受け取りまでの期間が短くなります。値動きの大きい商品ばかりにすると、受け取る時期に下落していた場合の影響が大きくなります
  • 手数料の負担が相対的に重くなる:加入時の手数料や毎月の口座管理手数料は、積み立て期間が短いほど、運用益に対する割合が大きくなります
  • 老齢基礎年金の受け取りとの関係:老齢基礎年金を受け取ると、iDeCoに加入できなくなります。年金を繰り上げて受け取る予定の人は特に注意が必要です
  • 受け取るときの税金:iDeCoは受け取るときに税金がかかる場合があります。退職金と受け取る時期が重なると、税金が増えることもあるので、受け取り方は事前に確認しましょう
  • 手続きは書面のみ:第5号加入者の手続きは、2026年12月1日から書面で受け付けられます。専用の書類は金融機関に取り寄せる必要があります

受け取り方や年金との組み合わせに迷ったら

60代のiDeCoは、「いつまで働くか」「年金をいつから受け取るか」「退職金とiDeCoの受け取り時期をどうずらすか」など、組み合わせで結果が変わる要素が多くなります。自分だけで判断しにくいと感じたら、FP(ファイナンシャルプランナー)に一度整理してもらうのも一つの方法です。

  • 相談は無料ですが、保険などの提案を受ける場合があります。内容に納得できなければ、その場で断って問題ありません
  • 利用条件(年齢・職業など)があるため、申し込む前に公式サイトで確認してください
  • 相談前に、ねんきん定期便や退職金の見込み額を手元に用意しておくと、話がスムーズに進みます

50代のうちにやっておきたいこと

改正で一番得をしやすいのは、50代のうちにiDeCoを始めておき、60歳以降もそのまま積み立てを続ける人です。すでにiDeCoの加入者であれば、60歳を過ぎても特例の期限に関係なく、第5号加入者として続けやすくなります。

50代・60代の行動ステップ

  1. 勤務先の企業年金(企業型DC・DB)と、退職後の年金の受け取り方を確認する
  2. 60歳以降、いつまで・どのくらいの収入で働くかの見通しを立てる
  3. 生活防衛資金とNISAで「自由に使えるお金」を確保したうえで、iDeCoに回せる額を決める
  4. 60代でこれから始める人は、2029年11月30日までの特例期間を意識する
  5. 金融機関の手数料と商品を比べ、受け取り方(一時金・年金)も含めて確認する

【筆者の場合】

筆者(とも)は40代の会社員で、iDeCoはまだ使っていません。NISAを優先していることと、原則60歳まで引き出せないことが理由です。ただ、今回の改正で「60代も積み立てを続けられる」ことがわかり、NISAの枠を使い切れるようになってから、老後資金の上乗せとしてiDeCoを検討する余地が広がったと感じています。

今の50代・60代の方にとっては、「もう遅い」と思っていた制度を使えるようになる改正です。自分の働き方と年金の受け取り時期を確認してから、無理のない範囲で検討してみてください。

金融機関を選ぶときのポイント

iDeCoの口座は1人1つの金融機関でしか持てません。毎月の手数料と商品の数は、金融機関によって違います。たとえば松井証券のiDeCoは、公式サイトによると次のような特徴があります(2026年10月時点)。

  • 運営管理手数料はどなたでも0円。加入後に毎月かかる手数料は、国民年金基金連合会と信託銀行への支払いを合わせて月171円
  • 投資信託など40種類の商品を用意(法令上の商品数は31商品)

筆者自身はNISAとFXで松井証券を使っています。iDeCoを検討する人にとっては、比較候補の1つになると思います。

申し込む前に確認したいこと

  • 加入時に2,829円、他社へ移る際に松井証券の手数料4,400円がかかります(公式サイト表示)
  • 運用する商品によっては元本割れの可能性があります。手数料や商品は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトで確認してください
  • 60歳以上で第5号加入者として申し込む場合の手続きは、金融機関に事前に確認してください

まとめ|60代のiDeCoは「条件」と「期限」の確認から

2026年12月のiDeCo改正で、60歳以上70歳未満の人もiDeCoに加入・積み立てを続けられるようになります。通常は「すでにiDeCoや企業年金の資産を持っている人」が対象ですが、2029年11月30日までは、新しく加入できる特例もあります。

一方で、老齢基礎年金を受け取ると加入できなくなることや、運用期間が短いことには注意が必要です。まずは自分の働き方と年金の受け取り時期を確認し、無理のない範囲で活用を考えましょう。