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「iDeCoの上限が月6.2万円に上がるらしい」——2026年12月のiDeCo改正で、会社員の掛金の上限が大きく変わります。ただし、月6.2万円まで積み立てられるのは、勤務先に企業年金がない人だけです。企業型DCや確定給付企業年金(DB)がある会社員は、会社が出している掛金を差し引いた金額が上限になります。この記事では、会社員が自分の上限を計算する方法を、具体的な数字で整理します。
この記事でわかること
- 2026年12月のiDeCo改正で、会社員の掛金上限がどう変わるか
- 企業年金がある人の上限の計算方法(計算例つき)
- 改正後もiDeCoに掛金を出せない人の条件
- 上限が上がったときの節税効果の目安
- 改正前に会社員がやっておきたいこと
※制度の内容は、厚生労働省の資料と運営管理機関(松井証券・りそな銀行など)の公式サイトで2026年10月8日に確認したものです。最新の情報は、各公式サイトで確認してください。
2026年12月のiDeCo改正|会社員に関係するポイントは3つ
今回の改正で、会社員(国民年金の第2号被保険者)に関係する変更は、大きく次の3つです。
会社員に関係する改正ポイント
- 掛金の上限が月6.2万円の枠に:企業年金がない会社員は月2.3万円→6.2万円
- 企業年金の有無による区分が一本化:企業年金がある人の「月2万円まで」という上限がなくなり、「6.2万円から会社の掛金を引いた額」に
- 70歳になるまで加入できるように:60歳以上70歳未満で、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていない人などが対象
新しい上限が使えるのは、2026年12月分の掛金(2027年1月26日の引き落とし分)からです。
| 区分 | 改正前(月額) | 改正後(月額) |
|---|---|---|
| 会社員(企業年金なし) | 2.3万円 | 6.2万円 |
| 会社員(企業型DC・DBあり) | 2.0万円まで(企業年金の掛金によってはさらに少ない) | 6.2万円 −(企業型DCの事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額) |
| 公務員 | 2.0万円 | 6.2万円 − 他制度掛金相当額 |
| 自営業者など(参考) | 6.8万円 | 7.5万円(国民年金基金などと合算) |
| 専業主婦(夫)(参考) | 2.3万円 | 2.3万円(変更なし) |
出典:厚生労働省「私的年金制度、iDeCoの改正のポイント」、松井証券・りそな銀行のiDeCo制度改正のお知らせ
企業年金がある会社員の上限|計算方法
企業年金がある会社員の上限は、次の式で計算します。
iDeCoの上限(月額)= 62,000円 −(企業型DCの事業主掛金 + DB等の他制度掛金相当額)
計算結果の千円未満は切り捨てです。iDeCoの掛金は月5,000円以上・1,000円単位で決めます。
ここで出てくる2つの言葉は、次のような意味です。
- 企業型DCの事業主掛金:会社が企業型確定拠出年金に毎月出している掛金
- 他制度掛金相当額:確定給付企業年金(DB)など、会社の年金制度ごとに決められた「掛金にあたる額」。自分では計算できないので、勤務先から知らせてもらう金額です
計算例|会社の掛金ごとのiDeCoの上限
| 会社の掛金(DC事業主掛金+他制度掛金相当額) | 改正前のiDeCo上限 | 改正後のiDeCo上限 | 増える額 |
|---|---|---|---|
| 月5,000円 | 2.0万円 | 5.7万円 | +3.7万円 |
| 月10,000円 | 2.0万円 | 5.2万円 | +3.2万円 |
| 月20,000円 | 2.0万円 | 4.2万円 | +2.2万円 |
| 月30,000円 | 2.0万円 | 3.2万円 | +1.2万円 |
| 月50,000円 | 0.5万円 | 1.2万円 | +0.7万円 |
※改正前は「2万円」と「5.5万円 − 会社の掛金」のうち小さい方で計算。会社の掛金がちょうどの金額の場合の単純計算です。
たとえば、会社の掛金が月10,820円なら、62,000円 − 10,820円 = 51,180円で、千円未満を切り捨てて月51,000円が上限になります。
このように、会社の掛金が少ない人ほど、改正で増える枠が大きくなります。企業年金がある会社員でも、今の「月2万円まで」から大きく枠が広がる人が多いはずです。
改正後もiDeCoに掛金を出せない人
改正後でも、次に当てはまる人はiDeCoに掛金を出せません。
iDeCoに掛金を出せないケース
- 会社の掛金が大きく、残りが5,000円未満になる人:例)会社の掛金が月57,110円なら、残りは4,890円で最低額の5,000円に届かない
- 企業型DCで「マッチング拠出」をしている人:自分の掛金を企業型DCに上乗せしている場合、iDeCoには掛金を出せません。どちらを使うか選ぶ必要があります
上限が上がると、節税効果はどれくらい?
iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象です。掛金を増やすほど、所得税と住民税が軽くなります。
試算:掛金を月2万円→月4万円に増やした場合
前提:所得税率10%、住民税率10%の会社員(課税所得が195万円超〜330万円以下の場合の所得税率。復興特別所得税は含めない)
- 増える掛金:月2万円 × 12か月 = 年24万円
- 軽くなる税金:24万円 ×(10%+10%)= 年4万8,000円
※税率は人によって違います。実際の金額は、年収や控除の状況で変わります。
ただし、iDeCoのお金は原則60歳まで引き出せません。節税になるからといって掛金を増やしすぎると、住宅購入や教育費など、途中で必要になるお金が足りなくなるおそれがあります。「上限まで出す」より「60歳まで使わないお金の範囲で出す」と考えるのが現実的です。
NISAとの使い分けは、NISAとiDeCoの違いと活用法|2026年12月のiDeCo改正後の使い分けを初心者向けに解説で詳しく整理しています。
【筆者の場合】
筆者(とも)の勤務先には、企業型DCがあります。仕組みは2つに分かれていて、勤続年数に応じて会社が出す「退職金にあたる部分」と、希望者が自分で掛金のコースを選ぶ「上乗せ部分」です。上乗せ部分は給料から切り出す「選択制」で、掛金には税金も社会保険料もかかりません。筆者はこの上乗せ部分で、毎月2万円台後半のコースを選んでいます。
今回の法改正に合わせて、勤務先の制度も見直され、上乗せ部分で選べるコースの上限が引き上げられる予定です。
筆者の場合のiDeCoの上限(改正後)
6.2万円 −(上乗せ部分の掛金 + 退職金部分の掛金)
上乗せ部分のコースを上げればiDeCoの枠は減り、下げれば増えます。会社の制度をどこまで使うかで、iDeCoの枠が変わる計算です。
選択制のDCは、所得税・住民税に加えて社会保険料も軽くなるため、手取りの面ではiDeCoより有利になりやすい制度です。ただし、社会保険料が減る分、将来受け取る厚生年金などが少し減ることがある点には注意が必要です。筆者は、まず会社のDCをどこまで使うかを決めて、iDeCoはその残りで考える、という順番で検討しています。
筆者はこれまで、iDeCoを使っていません。理由は2つあります。1つは、NISAを優先してきたこと。もう1つは、iDeCoは原則60歳まで引き出せないことです。これから先、まとまったお金が必要になる可能性を考えると、いつでも引き出せるNISAで資産を育てるほうが自分には合っていると考えてきました。
今回の改正で上限は広がりますが、筆者の考え方は大きくは変わっていません。NISAの非課税枠を使い切れるようになってから、その先の「60歳まで使わないお金」としてiDeCoを検討するという順番です。上限が上がったことで、そのときに選べる幅が大きくなった、と受け止めています。
筆者と同じように迷っている人へ
「節税になるからiDeCoを上限まで」と考える前に、自由に使えるお金(生活防衛資金とNISA)が十分にあるかを先に確認するのがおすすめです。iDeCoは、その順番が整ってから考えても遅くありません。
改正前に会社員がやっておきたいこと
今からできる準備
- 勤務先の企業年金を確認する:企業型DC・DBがあるか、会社の掛金(他制度掛金相当額を含む)がいくらかを、人事・総務や企業年金の加入者サイトで確認。会社独自の名前がついた年金制度がある場合も、どの種類の制度にあたるのかをあわせて確認しましょう
- 自分の上限を計算する:62,000円 − 会社の掛金(千円未満切り捨て)
- 60歳まで使わないお金がいくらあるか考える:生活防衛資金とNISAの積立を差し引いたうえで、iDeCoに回せる額を決める
- すでにiDeCoに加入している人は、掛金変更の手続き時期を確認する:金融機関によっては、2026年10月30日までの事前受付や、12月以降のWeb手続きなどの案内が出ています
- これから始める人は、金融機関の手数料と商品を比べる:iDeCoの口座は1人1つの金融機関でしか持てません
金融機関を選ぶときのポイント
iDeCoは何十年も続ける制度なので、毎月の手数料と、長く持ちたい商品があるかどうかが大切です。たとえば松井証券のiDeCoは、公式サイトによると次のような特徴があります(2026年10月時点)。
- 運営管理手数料はどなたでも0円。加入後に毎月かかる手数料は、国民年金基金連合会と信託銀行への支払いを合わせて月171円
- 投資信託など40種類の商品を用意(法令上の商品数は31商品)
筆者自身はNISAとFXで松井証券を使っています。iDeCoを検討する人にとっては、比較候補の1つになると思います。
申し込む前に確認したいこと
- 加入時に2,829円、他社へ移る際に松井証券の手数料4,400円がかかります(公式サイト表示)
- 運用する商品によっては元本割れの可能性があります。手数料や商品は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトで確認してください
まとめ|会社員は「自分の上限」を計算するところから
2026年12月のiDeCo改正で、会社員の掛金の上限は大きく広がります。ただし、月6.2万円まで出せるのは企業年金がない人だけで、企業年金がある人は「6.2万円 − 会社の掛金」が上限です。
まずは勤務先の企業年金と会社の掛金を確認し、自分の上限を計算してみましょう。そのうえで、60歳まで使わないお金の範囲で掛金を決めることが、無理なく続けるコツです。